週刊フリッカー - No.10 2010

週刊フリッカー「3月15-21日」



【現在】



▽今週のぐっときた記事



《考えると、ずっと画面に向っている。ブック型のパソコンと、モバイル。ま、つまり、マックブックとアイフォンだ。

……

ある日、冷静に考えて例えば、この「一日じゅう画面を見ている状態」が「悪い」と過程して考えたことがある。そして、「一体、何をしているのか」とも考えた。

仕事で使うということは、ひとつ、仕方ない。

……

それは置いておき、問題はそれ以外のプライベートで画面を覗くときって、なんだろうということ。そんなこと、考えてもみなかったけれど、確実に画面をのぞき込む時間は増えている。

……

人とのコミュニケーションをほんらい人に備わった、例えば、手足や言葉、目や耳がなくてもできる状態になるだろう。

つまり、人は繋がってしまう。

僕らが日々、画面をのぞき込むという行為は、それを目指しているかなり初期段階ではないかというのが、僕の結論。つまり、だんだんエスカレートしていき、24時間、様々なものと人、人と人が繋がってしまうことが、近未来のゴールだと見える。

ツイッターは「その欲求を満たした」ことであり、「人のつぶやきまで、人と繋がった」ことを意味する。

メールで人に用件を伝え、気持ちを伝える。ツイッターで揺れ動く恋の想いを相手にささやき、メールでプロポーズして、画面に花束を贈る。

その美しい画素数誇る花束は、もちろん写真だし、恋の言葉がささやかれるのは、耳元ではなくなっていく。

アメリカの学校受験ではパソコンの持ち込みはあたりまえになりつつあるようです。もはや、そういうものを駆使して「情報にたどり着く」という才能の方が、人間本来がもつものを越えてしまった。

画面を覗き込むということ。それは、人間本来の大切なことをダメにしているともいえる。

……

やがて、自分がいなくなる。自分なんて必要なくなる。他人になれるし、自分の中にそれはなくてもよくなる。知識も記憶も。人にあればよくなる。他人のものでも契約が成立すれば自分のものだ。努力よりも、その情報にいかにたどり着けるか。それが重要だ。なんて時代に向っていくために、僕らは日々、画面を覗き込んでいる。》




これは、先週取り上げた粉川哲夫氏の「Twitterにしてもfacebookにしても、他のたいていのSMSは、みな基本がビジネスツールなのである」=「Twitterfacebookも『ビジネス』マンが使うツールである」というのとも関連してくるのではないでしょうか。

大部分の仕事では、「その人個人であること」は求められないように思います。つまり、「自分」でも「他人」でも構わないということ。

また、ここ最近ずっとナガオカケンメイ氏の文章、思考が好きです。正直に言いまして氏の「デザイン」に関してはよくわかっていないのですが。

言い方を悪くすれば「面倒くさい」部類なのかもしれませんが(森達也氏が言うところの「鈍い」と近いところがあるかもしれませんね)、きちんとひとつずつ物事に疑問を持ち、自分が納得するよう噛み砕こうとしながら=咀嚼をながら進んでいく姿にとても共感します。






▽今週の放送終了

cbs_tbs.jpg



《1988年から放送のTBS「CBSドキュメント」が3月17日の放送で終了が決定されました。》


source>>TBS CBSドキュメント番組存続要請 - 署名活動するなら『署名TV』





▽今週のニューオープン@横浜



《3月19日、横浜に2つの商業施設がオープンした。桜木町駅前の「コレットマーレ」と、横浜駅きた東口の「横浜ベイクォーターANNEX」だ。オープンに合わせて各施設の詳細をレポートする。》






▽今週の規制



《漫画キャラクターなどの性描写を規制対象に明記する東京都の青少年健全育成条例改正案について、都議会第1党の民主党は16日、今議会中に可否の結論を出すことを見送り、改正案を継続審議にする方向で調整に入った。共産党なども含め、議席過半数を占める野党会派が協調する見通しだ。》






▽今週の、文章を書くということ



《すでに何度も書いているように、おれは成りゆきでライターになったので、文章の書き方のオベンキョウをしたことがないから、考えられないのだな。

ところが、ときどき、あるいはよく、編集者やらクリエイティブ系な人たちに、あなたの文章は「ライター」の文章ではなく「文章家」の文章だといわれる。だけど、そういわれても、どこがそうなのかわからない。説明を聞いても、よくわからない。とにかく文章のことはわからない。なにしろ、ひとは「あなたの文体は」と、おれの文体のことをいうが、おれはおれの文体を意識したことはない、わからない。

なのにナゼ文章が書けるかというと、よく観察し、よく調べ、よく考え、よく検討を加え、そうしているあいだに脳だか胃袋だか、どこだか知らないが肉体のなかに貯まってくる言葉や論理や感覚などを、ゲップやゲロを出す感じで、キーを叩き吐き出すだけなのだ。

なので、書き出すとはやいが、はやいのは、ゲップやゲロが勢いよく出るのとおなじ。とにかく、書く前に観察や思考に没頭する。「いい文章」になっているかどうかは、ときの運、どう転んでも中身だけはちゃんとあるようにしよう。文章のテクニックをオベンキョウしているヒマがあったら、酒を呑んで酔ってアタマをフニャフニャにしておくか、モノゴトをよく見て考えておこう。ってな感じかな。はやい話、文章をオベンキョウして「文章家」になろうと思ったことはない。「文章家」の文章を書こうと思ったことはないから、オベンキョウもしたことないし、わからない。》







▽今週のルポ「禁煙都市」



《「禁煙包囲網」が広がっている。神奈川県では4月から受動喫煙防止条例が施行され、官公庁や病院、映画館など公共性が高い施設は禁煙。飲食店などでも原則、禁煙・喫煙の区域を分ける仕切りや排気設備などを設けなければ、吸えなくなる。ああ、スモーカーはどこにゆく……。吸う記者、吸わない記者それぞれが「禁煙都市」を見た。》






▽今週注目の別冊



arne_tsukurikata.jpg



『別冊Arne アルネのつくり方』

2010年3月15日発売

定価 1575円(税込)

B5変型

72ページ(本紙)

32ページ(付録)

発行所:(株)イオグラフィック



《今までのアルネの紙面ではお伝えしていない裏側のことや、新たに取材した『付録・アルネのつくり方のアルネ』での取材、編集方法などを、紹介しております。アルネをご購読いただいた方をはじめ、アルネのような本を作りたい方、アルネを知らない方にも楽しんでご購読いただけると思います。》






▽今週の注目本 その1



mori_ikimono.jpg



森達也『首都圏生きもの記』

2010年3月19日発売

定価 777円(税込)

新書判/240ページ



オウム真理教放送禁止歌、死刑問題など、独自の視点で世界を切り取る人気ドキュメンタリー作家・森達也が次のターゲットに選んだのは、首都圏に生きる動物たち。

大人の科学.netで好評を得たWEB連載『森達也の首都圏動物記』が、タイトルを改め、大幅に加筆して、読み応え十分な一冊として学研新書で登場。都会に生息するさまざまな生きものたちを、著者自らが撮影した写真とともに綴る!

主な内容

カッターでプラナリアを三等分!

がんばれ皇居の外来種

これだけはダメ! ハリガネムシ

蛾はそのまま縫いぐるみ

黒い羽毛の下にいる高等生物カラス

史上最悪の苦手な生きもの

ヒキガエルの国へのご招待

などなど。》







▽今週のインタビュー

長部聡介(ドラマ「不毛地帯」プロデューサー)@クラベリア ★★★★

《2010年3月11日に全19回の最終回を迎えたフジテレビ開局50周年記念ドラマ「不毛地帯」。回を追うごとに評判が高まっていったこのドラマのメインテーマ「FUMOCHITAI」は、ご存知、坂本龍一氏のオリジナル楽曲。commmonsより「不毛地帯」オリジナル・サウンドトラックが2月17日に発売されたのを記念して、同ドラマのプロデューサー長部聡介氏に話を聞いた。

──長部さんと坂本さんの接点は?

僕はフジテレビでのスタートが歌番組で、『夜のヒットスタジオ』のときに坂本さんのパリからの中継を担当したり、『HEY!HEY!HEY!』で GEISHA GIRLSにかかわったりして、坂本さんと仕事をさせていただきました。アーティストとして興味があるのはもちろん、おもしろいひとだなと思っていましたね。歌番組からドラマに移って、いつかは坂本さんに音楽をお願いできるドラマ作品に携わって、そのテーマにあった曲を書き下ろしてほしいと思っていました。》







・NAOITO@CINRA.NET ★★★★

ニュー・アルバム『雑食familia』発売記念インタビュー

インタビュー・テキスト:小宮川りょう

《--世界中の都市にネットで簡単にアクセス出来るようになったけど、匂いは実際足を運ばないと感じることはできないですよね。

NAOITO:YOUTUBEじゃ「現実」まで感じることはできないはずです。日本に住んでいれば色んなワールドミュージックを聴くことができるけど、それを聴いて知っていたとしても、それだけじゃ何か足りない。実際にその土地に行って、はじめて全てがリアリティになるような気がします。ネットでは絶対わからないものの一つに「時代性」というのもありますよね。自分の住んでいる街で政治的な理由で殺し合いがあったとか、そういうことって僕たちにはないじゃないですか?》







・ZZ PRODUCTION@CINRA.NET ★★★★

アルバム『ZZ』発売記念インタビュー

インタビュー・テキスト:小宮川りょう

《サ上:ZZはどんなクルーなのか? 説明するのはすごく難しいんだけど、一つ言えるのは、みんなでオモシロい話をするクルーですってこと。そのオモシロ話を半年に一度更新していくのが目標!》







・TINO RAZO、NECKFACE、Todd Jordan [NOW I REMEMBER]@REDonePRESS ★★★

Interviewer:Ria

Translation:Giyan

《2010年3月13日から代官山STITCHにて行われた写真展『NOW I REMEMBER』。

携帯電話のカメラで撮影されたロークォリティな写真を集めたこの写真展には、NYで生活してきた8名のアーティストたちがフォトグラファーとなって参加した。その8名の中からRED one PRESSでは、ティノ・ラゾ、ネックフェイス、トッド・ジョーダンの3人に、このショーについてを掘り下げようとインタビューを行った。

R:こういった種のアートフォトというのは、アートフォトの歴史的に見ればまだ新しいものだと思いますが、今後のアートフォトのシーンにはどんな発展や進化が起こると思いますか?

T:うん、新しいと思うね。一種の新しい分野だよ。フィルムから始まって、フィルムが発展し、デジタルになって、今度はピクセルの倍増だろ。きりがないよ!一歩下がって見ようぜ。ディテイルなんて重要視しないで60dpi(解像度)で20×24の写真をプリントしてみればいいんだよ!

それに携帯はみんなが持ってて、付いてるカメラで写真をとる。でも誰もそれを彼女や彼氏以外に見せる事を好んでないでしょ、すごく個人的な事だから。

こうやって個人的な記録っぽい写真をショーとして見せることを、俺たちが始めた一種の新しいことだって本当に思ってるよ!》







▽今週の誕生日



・ライトニン=ホプキンス/Lightnin' Hopkins 1912.3/15-1982.1/30

・スライ=ストーン/Sly Stone 1943.3/15-

カヒミ・カリィKahimi Karie 1968.3/15-

・ウィル=アイ=アム/will.i.am 1975.3/15-

・フレイヴァー=フレイヴ/Flavor Flav 1959.3/16-

・ナット=キング=コール/Nat King Cole 1919.3/17-1965.2/15

・ジョバンニ=トラパットーニ/Giovanni Trapattoni 1939.3/17-

・甲本 ヒロト 1963.3/17-

・ビリー=コーガン/William Patrick Corgan 1967.3/17-

・田村 隆一 1923.3/18-1998.8/26

・ウィルソン=ピケット/Wilson Pickett 1941.3/18-2006.1/19

・クィーン=ラティファ/Queen Latifah 1970.3/18-

・いとう せいこう 1961.3/19-

・スパイク=リー/Spike Lee 1957.3/22-

・フェルナンド=トーレス/Fernando Jose Torres Sanz 1984.3/20-

・加藤 和彦 1947.3/21-2009.10/16

・アイルトン=セナ/Ayrton Senna 1960/3.21-1994.5/1

・ローター=マテウス/Lohtar Matthaus 1961.3/21-

ロナウジーニョ/Ronaldinho 1980.3/21-





▽今週の追悼



・佐藤 伸治 1966.2/16-1999.3/15

・T-ボーン=ウォーカー/T-Bone Walker 1910.5/28-1975.3/16

・笠 智衆 1904.5/13-1993.3/16

いかりや長介 1931.11/1-2004.3/20





▽今週の開催中



【クリストとジャンヌ=クロード展 LIFE=WORKS=PROJECTS】@21_21 DESIGN SIGHT(東京ミッドタウン・ガーデン内)(〜4/6)





▽今週の展示始まりました



【六本木クロッシング2010展:芸術は可能か?】@森美術館(3/20-)





▽来週開催



【六本木アートナイト2010】@六本木ヒルズ、森美術館、東京ミッドタウン、サントリー美術館、21_21 DESIGN SIGHT、国立新美術館、六本木商店街、その他六本木地区の協力施設や公共スペース(3/27 10:00-3/28 18:00)

[>NOW I REMEMBER Special Interview「Just a Record」 - REDonePRESS
[>ZZ PRODUCTIONインタビュー - インタビュー:CINRA.NET
[>NAOITOインタビュー - インタビュー:CINRA.NET
[>Web Magazine OPENERS - LOUNGE INTERVIEW|ドラマ「不毛地帯」プロデューサー長部聡介氏インタビュー(前編)
[>首都圏 生きもの記 | 大人の科学.net
[>イオグラフィック:ネットショップ|別冊Arne アルネのつくり方
[>特集ワイド:「受動喫煙防止条例」施行迫る神奈川 ルポ「禁煙都市」 - 毎日jp(毎日新聞)
[>ザ大衆食つまみぐい by エンテツ - 集中、没頭、忘我。おれは「文章家」なのか? 人生に失敗はない。成功もないけど。
[>ザ大衆食つまみぐい by エンテツ - 食欲や性欲の「浄化」は、表現あるいは文化の衰退になるかな。
[>asahi.com(朝日新聞社):漫画の性描写、都規制案 結論先送りの方向 - 社会|2010年3月17日6時11分
[>日経トレンディネット|横浜で商業施設ラッシュ!「コレットマーレ」「ベイクォーターANNEX」の見どころ - ライフ
[>TBS「CBSドキュメント」
[>ナガオカ日記 - シンプルに生きたい。 - D&DEPARTMENT PROJECT